社員が増えて会議室が足りない、Web会議の声が執務スペースに響く。そんな理由で、オフィスに会議室を増設したいと考えることがありますよね。ただ、壁を立てて部屋を区切る間仕切りの工事では、内装のほかに、感知器やスプリンクラーなどの消防設備や空調の工事が必要になることがあります。この記事では、会議室の増設と間仕切りの注意点を、消防法・建築基準法の確認点、ビルの工事区分(B工事)、音漏れ対策、費用と日程に分けて解説します。

この記事の結論

  • 会議室を壁で区切ると、新しい部屋にも感知器・スプリンクラーのヘッド・非常放送のスピーカー・空調が必要になることがあります。これらはビルの指定業者のB工事になる場合があります。
  • 排煙・非常用の照明・内装の制限・避難経路など、建築基準法の基準にも関わります。レイアウトを決める前に、ビル管理会社と所轄の消防署に確かめます(2026年9月時点)。
  • 音漏れは、壁の高さ・吸音材・ドアのすき間で決まります。家具やブースで足りる場合もあるため、工事をするかどうかから考えます。

オフィスに会議室を増設するときの注意点は「内装以外の工事」です

オフィスに会議室を増設するときにいちばん注意したいのは、壁をつくる工事よりも、それに伴って必要になる設備の工事です。新しい部屋ができると、消防設備・空調・照明・電源とLANを、その部屋に合わせて整える必要があるためです。

A工事はビルのオーナーが費用を負担して行う工事、B工事はテナントが費用を負担してビルの指定業者が行う工事、C工事はテナントが費用を負担して自分で選んだ業者に頼む工事のことです。工事区分表とは、ビルの工事のうち、どの部分をだれが行い、だれが費用を負担するかを決めた表のことです。

工事主な内容行う業者
内装間仕切り壁、ドア、壁紙、床の補修テナントが選んだ内装会社(C工事)
消防設備感知器・スプリンクラーのヘッド・非常放送のスピーカー・誘導灯の移設や増設ビルの指定業者(B工事)になることがある
空調・換気吹き出し口・吸い込み口の移設、換気の確保、温度の操作パネルビルの指定業者(B工事)になることがある
電気・照明・LAN照明とスイッチ、コンセント、LAN、モニターの電源内装会社・電気工事業者(ビルによってはB工事)

会議室の費用と日程は、内装より先に、ビル側の工事の範囲が分かってから固まります。

会議室の間仕切りで必要になる消防設備の工事(感知器・スプリンクラーなど)

壁で部屋を区切ると、新しい部屋ごとに消防設備の基準を満たす必要が出てきます。

自動火災報知設備とは、火災の熱や煙を感知器で見つけ、ベルなどで建物の中の人に知らせる設備のことです。非常放送とは、火災のときに建物の中へ避難を呼びかける放送設備のことです。ビルにその設備がある場合に、2026年9月時点の消防法の基準で関わりやすいのは次の4つです。

  • 感知器:壁などで区切られた区域ごとに設けるのが原則で、天井まで届く壁で会議室をつくると、その部屋にも必要になります。
  • スプリンクラー:天井の各部分がヘッドの届く範囲に入るよう決まっています。壁で範囲が切れる、壁がヘッドに近すぎるといった場合は、移設や増設が必要です。
  • 非常放送のスピーカー:壁やドアで区切られた区域ごとに基準があり、ごく小さな部屋を除き、会議室にも必要になることがあります。
  • 誘導灯:新しい壁で見えにくくなる場合や、新しい部屋の出入口に求められる場合は、移設や追加を行います。

消防用設備の工事を伴う場合は、所轄の消防署への届出が必要になることがあります。福岡市消防局の案内では、着工の届出は工事に着手する10日前まで、設置の届出は工事が完了した日から4日以内です。福岡市消防局は、テナントのレイアウト変更が消防法令の違反にあたる場合があるとして、計画の段階からの相談を呼びかけています。

感知器やスプリンクラーを直さないまま壁だけをつくると、火災に気づくのが遅れたり、消火の水が届かなかったりするおそれがあります。消防法令の違反にあたることもあります。感知器・スプリンクラー・スピーカーの位置は、壁の位置を決める前に図面で確かめておくと、工事のやり直しを防げます。

ご注意ください

基準はビルの規模・用途・今ある設備で変わるため、ここでの説明は2026年9月時点の一般的な内容です。必要な工事と届出は、ビル管理会社と所轄の消防署に確認して決めます。届出は工事を行う消防設備士やビルの関係者が行うもので、福岡店舗内装工事.comでは事前相談に使う図面の用意をお手伝いします。

建築基準法で確かめること:排煙・非常用の照明・内装・避難経路

会議室を増やすときは、排煙・非常用の照明・内装の制限・避難経路・換気を、建築基準法の基準に照らして確かめます。間仕切りの新設だけなら建築確認の手続きが要らない場合もありますが、手続きがなくても基準には合わせる必要があります。

排煙設備とは、火災のときに煙を外へ出すための窓や排煙口などの設備のことです。

項目会議室の増設で確かめること
排煙新しい部屋ごとに、排煙のための窓や排煙口の条件を確かめます。窓のない部屋では、排煙口の追加が要ることがあります
非常用の照明一定の規模の建物では、会議室などの部屋にも、停電時に点く非常用の照明が必要になることがあります
内装の制限窓のない部屋などでは、壁と天井の仕上げに燃えにくい材料を使う決まりがかかることがあります
避難経路通路の幅や、階段までの距離。一定の規模の階では、両側に部屋がある廊下は幅1.6m以上といった基準があります
換気換気に有効な窓がない会議室には、換気の設備が必要です

表は2026年9月時点の建築基準法と同施行令をもとにした一般的な整理です。扱いは建物ごとの条件で変わるため、ビル管理会社と、必要に応じて建築士や福岡市の窓口に確認します。窓のない会議室は、排煙・換気・内装の制限がまとめて関わるため、計画の早い段階で確かめておきます。

会議室の音漏れ対策:壁の高さ・吸音材・ドアで決まります

会議室の音漏れは、壁をどこまで立ち上げるかと、壁の中の吸音材、ドアのすき間で大きく変わります。

対策内容気をつけること
壁を天井裏まで立ち上げる天井の上の空間を回って音が漏れるのを防ぐ天井の中の空調・配管・配線との取り合いが増え、ビルの承認が要ることがある
壁の中に吸音材を入れる壁の内側にグラスウールなどを入れる壁が厚くなるぶん、部屋の広さが少し減る
ドアのすき間を減らすすき間の少ないドアや、下部のすき間を閉じる部品を使う空気の通り道が減るため、換気と空調を合わせて考える
空調まわりの対策吹き出し口やダクトを通って声が伝わるのを抑えるビルの空調に関わる部分はB工事になることがある

音漏れをゼロにするのは難しいため、「隣の席で話の内容が聞き取れない程度」など、目標を決めてから仕様を選ぶのが現実的です。

今のオフィスの図面と、会議室をつくりたい位置をLINEで送っていただければ、関わりそうな設備と工事の範囲を一緒に整理できます。

工事をしなくていいケース・後回しにできること

会議室が足りない理由によっては、壁をつくる工事をしなくても解決できることがあります。工事の前に、使い方の見直しで足りないかを確かめます。

  • 使い方の見直し:会議室の予約のルールや、1人で参加するWeb会議の場所を見直す
  • 家具で区切る:天井まで届かない低いパーティションや家具の配置で、打ち合わせのスペースをつくる
  • 置き型のブース:Web会議用のブースを置く方法もあります
  • 後から足せる物:会議用のモニター、吸音パネル、照明の演出は、使いながら足せます

ただし、天井と壁で囲われたブースは、ビルの消防設備によっては、ブースの中に感知器やスプリンクラーが必要になることがあります。消防庁の通知では、一定の条件を満たすブースは設置を要しない扱いも示されています。低いパーティションも、高さや位置によってはスプリンクラーの散水や誘導灯の見え方に影響するため、導入の前にビル管理会社に確かめます。

「何人で・どのくらいの頻度で・どんな話をする部屋が足りないのか」を先に整理すると、工事の範囲を小さくできます。

会議室増設の費用の目安と、費用が変わる条件

会議室の増設の費用は、内装の工事とビル側のB工事に分けて考えます。B工事の費用はビル側の見積もりになり、内装の見積もりとは別にかかります。

工事の内容費用の目安(税込)
間仕切り壁の新設(軽量鉄骨+ボード)1mあたり3万円〜(高さ・扉の有無で変わります)
壁紙(クロス)の張替え㎡あたり1,500円〜
タイルカーペットの張替え㎡あたり4,500円〜
照明器具の交換1台あたり8,000円〜(器具代は別途)
ドア・吸音材・ガラスの間仕切り個別にお見積り
夜間・休業日の工事個別にお見積り
消防設備・空調の移設や増設(B工事)ビル側のお見積り

表はいずれも税込の目安です。費用は、壁の高さ(天井までか天井裏までか)、ドアの種類、遮音の目標、B工事の範囲、夜間・休日に作業する日数で変わります。ほかの工事の単価は費用の目安でご覧いただけます。

入居後に設けた間仕切りは、退去時に撤去して元に戻す契約になっていることがあります。撤去の費用の考え方は、30坪のオフィスの原状回復のモデルケース(費用の目安)が参考になります。

ポイント

会議室を将来も増やす予定があるなら、まとめて計画すると、B工事の手配や夜間の作業の回数を減らしやすくなります。配線や下地だけ先に用意しておく方法もあります。

会議室を増設するときの進め方と日程

会議室の増設は、ビルへの確認から始めて、使い始めたい日から逆算して進めます。工事の日数より、ビルの承認やB工事の手配、届出に時間がかかることがあるためです。

  1. 目的を決める:必要な部屋の数と広さ、使う人数、遮音の目標
  2. ビルに確かめる:工事区分表、館内の工事の決まり、消防設備と空調がB工事になるか
  3. レイアウト案をつくる:会議室とドアの位置、通路の幅、感知器・スプリンクラー・誘導灯との位置関係
  4. 見積もりをそろえる:内装とB工事の見積もりを分けて確かめる
  5. 消防署などに確認する:必要な届出と、だれがいつ出すか
  6. 工事をする:音やほこりの出る作業は、夜間・休日に回すことがあります
  7. 使い始める:必要な検査や届出が済んだことを確かめる

使い始めたい日から逆算して、ビルへの確認とB工事の手配を先に進めるのが、日程を守るこつです。

会議室の増設を相談するときに伝えること

相談のときは、今のオフィスの図面とビルの工事の決まりがそろっていると、関わる設備と費用の幅をお伝えしやすくなります。

  • 今のオフィスの図面(天井の感知器やスプリンクラーの位置が分かるもの)
  • 会議室をつくりたい位置と数、使う人数
  • ビルの工事区分表と館内の工事の決まり(手元にあれば)
  • 工事ができる時間帯と、使い始めたい日
  • 遮音の目標(例:Web会議の声が執務スペースに聞こえない程度)

福岡店舗内装工事.comでは、見積書を工事項目ごとの数量と単価で書き、B工事と分けてお示しします。照明・コンセント・LANの工事は、家物語グループの電気工事・LAN工事の専門チームと連携して段取りします。概算見積もりは無料です。

オフィスの内装全体はオフィス・事務所の内装工事に、床・壁・照明などの工事は部分工事(床・壁・天井・照明)にまとめています。移転に伴う段取りは、天神ビッグバンのテナント移転と内装の段取りで解説しています。

オフィスの会議室増設と間仕切りでよくあるご質問

会議室を増やすとき、消防署への届出は必要ですか?
工事の内容とビルの条件によって必要になることがあります。感知器やスプリンクラーなどの消防用設備を増やしたり移したりする場合は、工事の前後に所轄の消防署への届出が求められることがあります。だれが・いつ出すかは、ビル管理会社と消防設備の工事業者、所轄の消防署に確認してください(2026年9月時点)。
天井まで届かない低いパーティションなら、消防設備の工事はいりませんか?
いらない場合もありますが、高さと置き方によります。天井近くまで届くもの、スプリンクラーのヘッドの近くに置くもの、誘導灯を隠すものは、工事や配置の見直しが必要になることがあります。高さと位置を決める前にビル管理会社に確認すると、手戻りを防げます。
会議室の音漏れは、どこまで防げますか?
壁のつくり方とドアで大きく変わりますが、まったく漏れないようにするのは難しいのが実際です。「隣の席で話の内容が聞き取れない程度」など目標を決めて、壁の高さ・吸音材・ドアの仕様を選びます。目標によって費用も変わります。
会議室を増やすと、空調が効きにくくなることはありますか?
あります。壁で区切った部屋に空調の吹き出し口や吸い込み口がないと、冷暖房が届きにくくなります。空調の移設や増設はビルの指定業者のB工事になることがあるため、レイアウトを決める前にビル管理会社と確かめておくと安心です。
増やした会議室は、退去するときに撤去が必要ですか?
賃貸借契約の原状回復の条項によります。入居後に設けた間仕切りは、退去時に撤去して元に戻す契約になっていることがあります。増設の前に契約書を確かめておくと、退去時の費用も見込みやすくなります。

まとめ

  • 会議室を壁で区切ると、感知器・スプリンクラー・非常放送・誘導灯・空調の工事が必要になることがあり、ビルの指定業者のB工事になる場合がある
  • 排煙・非常用の照明・内装の制限・避難経路・換気など、建築基準法の基準も部屋ごとに確かめる(2026年9月時点)
  • 音漏れは壁の高さ・吸音材・ドアのすき間で決まる。目標を決めてから仕様を選ぶ
  • 家具やブースで足りることもある。退去時の原状回復の条項もあわせて確かめる

会議室をつくるかどうか迷っている段階のご相談も歓迎しています。