天神ビッグバンでビルの建て替えが決まり、テナントとして移転の準備を始めた方は、内装の段取りに迷いますよね。移転では、今の場所の原状回復と、移転先の内装工事を同じ時期に進めます。この記事では、2026年9月時点の天神ビッグバンの状況と、新しいビルのB工事・指定業者・工事時間の決まりを整理します。そのうえで、2つの工事を1つの日程で進める段取りを解説します。
この記事の結論
- 天神ビッグバンに伴う移転では、移転元の原状回復と移転先の内装を1つの日程表で管理し、退去の期限と入居工事の期間から逆算します。
- 新しいビルでは、空調・防災設備・分電盤などがビルの指定業者のB工事になることがあります。工事区分表を早めに取り寄せ、B工事は内装の見積もりと分けて予算に入れます。
- 取り壊すビルからの退去は、原状回復の取り決めが通常の退去と違うことがあります。撤去の範囲と残してよい物を、工事の前に書面で確かめます。
天神ビッグバンのテナント移転は、原状回復と内装を1つの日程で進めます
天神ビッグバンに伴うテナントの移転では、移転元の原状回復と移転先の内装工事を、別々ではなく1つの日程で考えます。退去の期限は建て替えの工程で、移転先の工事期間は新しいビルの引き渡しの日で決まり、どちらもテナントの都合では動かしにくいためです。
原状回復とは、テナントが退去するときに、借りたときの状態(契約で決めた状態)に戻すことです。A工事はビルのオーナーが費用を負担して行う工事、B工事はテナントが費用を負担してビルの指定業者が行う工事、C工事はテナントが費用を負担して自分で選んだ業者に頼む工事のことです。
| 項目 | 移転元(今のビル) | 移転先(新しいビル) |
|---|---|---|
| 主な工事 | 原状回復(内装・設備の撤去、床や壁の復旧) | 内装工事(C工事)と、ビル側のB工事 |
| 日程を決めるもの | 明け渡しの期限、管理会社の立ち会いの日 | 引き渡しの日、図面の承認、工事ができる時間帯 |
| 確かめる書類 | 賃貸借契約書、明け渡しの条件、工事区分表 | 工事区分表、館内の工事の決まり、B工事の見積もり |
2つの工事は、職人や搬出入の日程が重なります。移転元と移転先の工事を同じ日程表で管理すると、家賃が二重にかかる期間を短くしやすくなります。
天神ビッグバンとは:2026年9月時点で分かっていること
天神ビッグバンとは、福岡市中央区の天神で、更新の時期を迎えたビルの建て替えを規制緩和で後押しする、福岡市の取り組みのことです。2015年2月に始まり、警固断層のリスクがあるなかで、耐震性の高い先進的なビルへの建て替えを進めています。
容積率とは、敷地の面積に対する、建物の延べ床面積の割合のことです。
| 項目 | 内容(2026年9月時点・福岡市の公表情報) |
|---|---|
| 対象エリア | 天神交差点から半径約500m(約80ha)の区域 |
| 主な仕組み | 国家戦略特区による航空法の高さ制限の緩和と、福岡市独自の容積率の緩和 |
| 天神ビッグバンボーナス | 要件を満たすビル計画を市が認定し、容積率の緩和を最大50%上乗せ。2024年12月31日までに竣工予定のビルと、感染症対策に取り組み2026年12月31日までに竣工予定のビルが対象(複数の街区にまたがる段階的・連鎖的な建て替えは個別に判断) |
| 建て替えの見込み | 2026年までにエリア内で70棟、2030年代までに100棟(2025年の福岡市の公表・市長の会見) |
| 関連する制度 | 2025年4月から、緑化や環境に配慮したビル計画を対象にしたグリーンボーナス(天神交差点と博多駅から半径約500m、2035年12月31日までに竣工見込みの計画) |
福岡市のページでは、複数の街区で段階的・連鎖的に建て替える計画も、ボーナスの認定に向けて検討中と紹介されています。ボーナスの期限のあとも建て替えの計画が続くため、移転の時期はビルごとの計画で確かめる必要があります。制度の内容や期限は変わることがあるため、最新の情報は福岡市の公表資料でご確認ください。
天神の新しいビルに入居するときの工事区分と指定業者
新しいビルへの入居や出店では、工事区分表と館内の工事の決まりを最初に確かめます。どこまでがビル側の工事で、どこからがテナントの工事かによって、費用と日程が大きく変わるためです。
工事区分表とは、ビルの工事のうち、どの部分をだれが行い、だれが費用を負担するかを決めた表のことです。天神の商業ビルや再開発ビルでは、工事の時間帯・搬入の方法・使える材料・指定業者の工事が、ビルごとに細かく決まっています。営業中の商業ビルでは夜間の工事が中心になり、オフィスビルでも音の出る作業の時間が決められていることがあります。
- B工事の範囲:空調・防災設備(感知器・スプリンクラーなど)・分電盤など、ビルの設備につなぐ部分
- 図面の承認:ビルに図面を出して承認を受けるまでの流れと期間
- 工事の時間帯:夜間・休日に限られる作業、音やにおいの出る作業の決まり
- 搬入:搬入口や荷さばき場、工事用のエレベーターの予約の方法
- 看板・入口まわり:低層部の店舗のサインや入口のデザインの決まり
天神ビッグバンボーナスの認定要件には、低層部や公開空地を含めたデザイン性、周辺のビルとの連続性が挙げられています。新しいビルの低層部に出店するときは、看板や入口まわりにビル側の決まりがないかも確かめておきましょう。飲食店の区画では、排気・給排水・ガスをビルの設備に接続することが多く、その部分もB工事になることがあります。
新しいビルの区画がスケルトンで引き渡されることもあります。スケルトン物件とは、床・壁・天井の仕上げや設備がない、コンクリートむき出しの状態の物件のことです。進め方はスケルトンからの内装工事で紹介しています。B工事の範囲と金額が分かるまでは、移転全体の予算は確定しないと考えておきましょう。
ポイント
入居が決まったら、工事区分表と館内の工事の決まりを先に受け取りましょう。B工事の見積もりの出し方と時期も確かめておくと、移転先の費用と工期の見通しが立ちます。
天神のビル建て替えで退去するときの原状回復
建て替えのために退去するときも、原状回復の範囲は、賃貸借契約と貸主との取り決めで決まります。ただ、取り壊すビルでは、通常の退去とは違う取り決めになることがあるため、工事の前に書面で確かめます。
確かめるのは、撤去をどこまで行うか、造作や設備を残して明け渡してよいか、搬出をいつまでに終えるかです。明け渡しの条件は貸主との話し合いで決まるもので、内装会社が決めるものではありません。取り決めに合わせて、必要な工事だけをお見積りします。
建て替えが決まったビルでは、同じ時期に多くのテナントが退去することがあります。エレベーターや搬出口、工事車両を止める場所の予約が重なりやすいため、搬出の日程は早めに押さえておきます。
撤去の範囲を書面で確かめないまま工事を始めると、費用や明け渡しの日程をめぐる行き違いの原因になります。撤去する物と残す物は、図面や写真に印をつけて貸主・管理会社と共有してから工事に入ります。進め方は原状回復工事(店舗・オフィスの退去)に、見積書の確かめ方は原状回復の見積もりが高いと感じたときの確認点にまとめています。
今の場所の契約書と、移転先のビルの工事区分表をLINEで送っていただければ、2つの工事の範囲と日程を一緒に整理できます。
移転で工事をしなくていい部分・後に回せる部分
移転では、すべてを新しくつくる必要はありません。持っていく物・残す物・後から足す物に分けると、工事の範囲と費用を抑えられます。
- 持っていける物:テナントの持ち物の家具・什器・金庫・棚など(移転先の寸法とビルの決まりに合う物)
- 新しいビルの仕上げを活かす:床・天井・照明・空調が整った状態で引き渡される区画は、つくり替えずに家具の配置で使い方を決める方法もあります
- 後から足せる物:壁の装飾、照明の演出、家具の買い替え、会議室の追加
- 取り壊すビルで残してよい物:貸主が認めた造作や設備は、撤去しなくてよいことがあります(書面で確認)
新しいビルでは、引き渡し時の仕上げを活かし、つくり込む場所を受付や客席など人の目に触れる場所に絞ると、費用を抑えやすくなります。
天神での移転にかかる費用の目安と、費用が変わる条件
移転の費用は、移転元の原状回復・移転先の内装・ビル側のB工事の3つに分けて考えます。B工事の費用は、内装会社の見積もりには含まれません。
| 工事の内容 | 費用の目安(税込) |
|---|---|
| 移転元の原状回復:オフィス | 1坪あたり2万〜6万円 |
| 移転元の原状回復:物販店・サロンなど | 1坪あたり3万〜8万円 |
| 移転元の原状回復:飲食店(厨房・給排気の撤去を含む) | 1坪あたり5万〜15万円 |
| 移転元のスケルトン戻し | 1坪あたり6万〜15万円 |
| 移転先の内装:オフィス(スケルトンから) | 1坪あたり10万〜30万円 |
| 移転先の内装:飲食店(スケルトンから) | 1坪あたり30万〜60万円 |
| 夜間・休業日の工事 | 個別にお見積り |
| ビルの指定業者のB工事 | ビル側のお見積り |
表はいずれも税込の目安です。費用は、夜間・休日の作業の多さ、搬入や搬出の時間の制限、撤去の範囲、移転先の設備の変更の量で変わります。
原状回復の内訳の例は、30坪のオフィスの原状回復のモデルケース(費用の目安)でご覧いただけます。
退去の期限と入居の日から逆算するスケジュール
スケジュールは、移転元の退去の期限と移転先で工事ができる期間を並べて、そこから逆算します。片方だけで組むと、日程が重なって動かせなくなることがあります。
- 日程の条件を集める:明け渡しの期限、立ち会いの日、新しいビルの引き渡し日と入居工事の期間
- 工事の範囲を確かめる:移転先の工事区分表と館内の決まり、移転元の撤去の範囲
- 図面をつくる:移転先のレイアウトを決め、ビルに図面を出して承認を受ける
- 見積もりをそろえる:内装とB工事の見積もりを分けて確かめる
- 移転先の工事:B工事と内装工事の順番をビル側と調整して進める
- 移転と搬入:家具・什器の搬入と、電気・LAN・電話の切り替えを入居日に合わせる
- 移転元の原状回復:搬出のあとに工事を行い、管理会社の立ち会いを受ける
天神ビッグバンでは竣工の時期が近いビルもあり、入居工事や移転の時期が重なると、業者や搬入の予約が取りにくくなることがあります。退去の期限が分かった時点で相談を始めると、2つの工事の日程を無理なく組みやすくなります。電気・LAN・防犯カメラの移設は、家物語グループの専門チームと連携して段取りします。工程表の考え方は開業までの流れにまとめています。
天神での移転の内装を相談するときに伝えること
相談のときは、移転元と移転先の2つの場所の情報がそろっていると、日程と費用の幅をお伝えしやすくなります。
- 移転元:所在地と広さ、賃貸借契約書の原状回復の条項、明け渡しの条件、今の内装の写真
- 移転先:区画の図面、工事区分表、館内の工事の決まり、引き渡しの日
- 業種と使い方:オフィス・飲食店・物販店などの業種と、席数や部屋数のイメージ
- 日程と予算:退去の期限、入居や開業の希望日、移転全体の予算
福岡店舗内装工事.comでは、移転元と移転先の工事を1つの工程表にまとめ、B工事と分けた内訳付きの見積書をお出しします。概算見積もりは無料です。天神・大名・今泉など中央区の物件の特徴は、福岡市中央区(天神・大名・今泉)の店舗内装工事にまとめています。オフィスの移転の内装は、オフィス・事務所の内装工事でも紹介しています。
天神ビッグバンのテナント移転でよくあるご質問
- 天神ビッグバンボーナスは、いつまでに竣工するビルが対象ですか?
- 2026年9月時点の福岡市の案内では、2024年12月31日までに竣工予定のビルと、感染症対策に取り組み2026年12月31日までに竣工予定のビルが対象です。複数の街区にまたがる段階的・連鎖的な建て替えの計画は、個別に判断するとされています。制度は変わることがあるため、最新の情報は福岡市の公表資料でご確認ください。
- B工事の費用は、内装会社の見積もりに含まれますか?
- 含まれません。B工事はビルの指定業者が行う工事で、費用はビル側のお見積りになります。範囲は工事区分表で決まるため、早めに管理会社へ確認し、内装の見積もりとは分けて予算に入れておくと安心です。
- 取り壊すビルから退去する場合も、原状回復は必要ですか?
- 賃貸借契約と、貸主との明け渡しの取り決めによります。建て替えのための退去では、撤去の範囲が通常の退去と違う扱いになることがあります。どこまで撤去し、何を残してよいかを、工事を始める前に書面で確認してください。
- 今のオフィスや店舗の家具・設備は、移転先で使えますか?
- テナントの持ち物で、移転先の寸法やビルの決まりに合えば使えることがあります。エアコンや照明など建物に付いている設備は、貸主の持ち物ではないか、取り外しに指定業者の工事が要らないかを先に確かめます。
- 移転の相談は、いつごろ始めればいいですか?
- 退去の期限か、新しいビルに入居できる日が分かった時点をおすすめします。移転先では図面の承認やB工事の手配、移転元では立ち会いや搬出の予約があり、両方の決まりを並べて日程を組む時間が必要になるためです。
まとめ
- 天神ビッグバンに伴う移転は、移転元の原状回復と移転先の内装を1つの日程表で管理し、退去の期限と入居工事の期間から逆算する
- 天神ビッグバンボーナスの期限などの制度の情報は2026年9月時点のもの。最新の情報は福岡市の公表資料で確かめる
- 新しいビルでは、工事区分表と館内の工事の決まりを最初に確かめ、B工事は内装の見積もりと分けて予算に入れる
- 取り壊すビルの原状回復は、撤去の範囲と残してよい物を、工事の前に書面で確かめる
移転先がまだ決まっていない段階でも、今の場所の契約書を見ながら段取りを一緒に整理できます。





