美容室の開業を考え始めると、内装費用がいくらかかり、その内訳がどうなっているのかが気になりますよね。美容室の内装費は坪単価で大まかにつかめますが、実際の金額は、シャンプー台の台数と給湯器の能力、物件の階数と水まわりの条件で大きく変わります。この記事では、美容室の開業にかかる内装費用の内訳を工事項目ごとに整理し、費用が変わる理由と、開業資金を残す考え方を解説します。

この記事の結論

  • 美容室をスケルトンからつくる内装費用は、1坪あたり25万〜45万円が目安です(税込)。美容機器の本体代は別にかかります。
  • 美容室ならではの費用は、シャンプー台まわりの給排水・給湯と、ドライヤーなどを同時に使うための電気の工事です。
  • 費用の差はシャンプー台の台数と物件の階数で生まれやすく、どちらも契約前に確かめられます。セット面の一部や装飾は、開業後に足す計画もできます。

美容室を開業するときの内装費用は、坪単価でどのくらい?

美容室をスケルトンからつくる場合の内装費用は、1坪あたり25万〜45万円(税込の目安)です。居抜きの美容室を活かせる場合は、手を入れる範囲に応じてこれより抑えられることがあります。

坪単価とは、工事費を床面積(坪)で割った、1坪あたりの費用のことです。スケルトン物件とは、床・壁・天井の仕上げや設備がない、コンクリートむき出しの状態の物件のことです。居抜き物件とは、前のお店の内装や厨房などの設備が残ったまま貸し出される物件のことです。

物件の状態・工事の内容1坪あたりの目安(税込)
スケルトンから美容室・理容室をつくる25万〜45万円
居抜きの軽い改装(壁・床の張替え、照明・看板の変更が中心)5万〜15万円
居抜きの標準的な改装(セット面・受付の造作、設備の一部入れ替え)15万〜30万円

この坪単価には、床・壁・天井・造作の内装と、一般的な照明・コンセント・空調の工事が含まれます。シャンプー台・セット椅子・鏡などの美容機器の本体代は含みません。

シャンプー台まわりの給排水・給湯は広さに関係なくかかるため、小さなお店ほど坪単価は高くなりやすくなります。坪単価だけで予算を決めず、シャンプー台の台数と水まわりの条件を合わせて見ることが大切です。

美容室の内装費用の内訳:工事項目ごとの中身と目安

美容室の内装費用は、設計・内装・造作・給排水と給湯・電気と照明・空調と換気・看板・諸経費に分けると、何にいくらかかるのかが見えてきます。

工事項目美容室での主な内容費用の目安(税込)
設計レイアウト、工事用の図面、完成イメージ実施設計は1坪あたり1万〜3万円、3Dパースは1カット3万円〜
解体・撤去居抜きで使わない造作・設備の撤去と処分残っている量で個別にお見積り
内装間仕切り、床・壁・天井の下地と仕上げ間仕切りは1mあたり3万円〜、床(塩ビタイル・長尺シート)は㎡あたり4,000円〜、壁紙は㎡あたり1,500円〜
造作セット面の鏡まわりとカウンター、受付、収納個別にお見積り
給排水・給湯シャンプー台と洗場の配管、給湯器、床の防水物件の条件で個別にお見積り
電気・照明セット面のコンセント、回路の増設、照明器具の取り付け照明は1台あたり8,000円〜(器具代は別途)
空調・換気業務用エアコン、換気扇機器と物件の条件で個別にお見積り
看板壁面看板、ガラス面のシート壁面看板は1面15万円〜(高所作業車が要る場合は別途)
諸経費養生、清掃、現場管理(工程表・写真記録)項目ごとに明記

㎡あたりの単価は、1坪=約3.3㎡として読み替えてください。内訳の並び方は、美容室ではありませんが12坪・スケルトンからのネイルサロンのモデルケース(費用の目安)でご覧いただけます。

ポイント

美容室ならではの費用は、給排水・給湯と電気に集まります。見積書でこの2つが項目ごとに分かれているかを確かめましょう。

シャンプー台の台数で美容室の内装費用が変わる理由

シャンプー台は1台ごとに給水・給湯・排水の配管が必要で、台数が増えるほど、給湯器の能力と配管・防水の範囲が大きくなるためです。

勾配とは、排水が自然に流れるように、配管につける傾きのことです。

  • 配管と床の防水:1台ごとに給水・給湯・排水をつなぎます。水はねの多いシャンプーまわりは、台数に合わせて床の防水の範囲も広がります。
  • 給湯器の能力:同時に使うお湯の量が増えるほど、能力の大きい給湯器や、給湯器の台数が必要になります。ガスの給湯器は置き場所と排気、電気の給湯器(貯湯式)はタンクの置き場所と電気の容量が条件です。
  • 排水の勾配:排水管から遠い位置に置くほど、床を上げて勾配をとる工事が必要になりやすくなります。

シャンプー台を置ける位置は排水の経路で、同時に使える台数は給湯器の能力で決まります。台数は、スタッフの人数と、カラーやパーマなど施術の組み立てから決めます。

物件の階数と状態で美容室の内装費用が変わる理由

物件が1階か2階以上か、スケルトンか居抜きかで、給排水・給湯の工事の大きさが変わるためです。

物件の条件費用が増えやすい点契約前に確かめること
1階排水管の位置によっては、床のコンクリートを削って配管することがある排水管の位置、床下の状態
2階以上床を上げて勾配をとる工事、床の防水、給湯器の置き場所の制約、搬入の手間排水管の位置と床下の高さ、給湯器を置ける場所、エレベーターの有無
排水管が下の階の天井裏を通るビル下の階のテナントの了解や、ビル側の工事が必要になることがある配管の通り道、ビル側が行う工事の範囲
スケルトン給排水・給湯・電気・空調を一からつくる給排水の位置、電気とガスの容量
居抜きの美容室給湯器やシャンプー台が古いと入れ替えが要る給湯器とシャンプー台の年式・動作、リース品かどうか

給排水の本管への接続や分電盤の工事は、ビルの指定業者が行う決まりのこともあり、その費用はビル側の見積もりで別にかかります。2階以上の物件や、もともと水まわりが少ない物件は、契約前に排水の経路と給湯器の置き場所を確かめるのが基本です。居抜きで確かめたい項目は、居抜き物件の契約前チェックリストにまとめています。

物件の募集図面と写真をLINEで送っていただければ、シャンプー台を置ける位置と給湯器の置き場所の見通しを一緒に確かめられます。

福岡市の美容所の基準と、内装で関わるところ(2026年9月時点)

美容室を開くときは、保健所に美容所の開設を届け出て、構造設備の検査で確認を受けてから使い始めます。作業室の広さや床の材質、洗髪設備などの基準は、レイアウトと費用にも関わります。

美容所とは、美容の業を行うために設けられた施設のことです。

項目福岡市の基準(2026年9月時点)内装で関わるところ
作業室の広さ待合場所と洗場(洗髪場所を含む)を除いて9.9㎡以上(椅子1脚なら6㎡以上)。椅子は9.9㎡で4脚まで、超える2㎡ごとに1脚増やせるセット面の数と配置
区画外部・住居・ほかの施設と、壁などで区切る間仕切りと建具
床・腰板コンクリート・タイル・板など、水を通さない材料床材と腰壁の仕上げ
洗場・洗髪設備流水式にするシャンプー台、給排水・給湯
照明・換気作業面の照度は100ルクス以上、炭酸ガスは5,000ppm以下照明、換気扇と空調
消毒・保管消毒設備、薬品や器具の保管棚、ふた付きの汚物箱・毛髪箱収納の造作、消毒器の置き場所

面積は、壁の内側の寸法(内法)で測ります。たとえばセット椅子を6脚置くなら、13.9㎡以上が必要です。作業室の広さは置けるセット椅子の数を決めるため、レイアウトと費用の出発点になります。

福岡市は、計画の段階(工事の着工前が理想)で、平面図などを持って区の衛生課に相談するよう案内しています。開設届から検査確認済通知書の交付までは1週間程度で、交付を受けてから営業を始めます。検査で確認を受ける前に、美容所を使い始めることはできません。所轄の消防署への届出も、使用開始の7日前までに必要です(福岡市消防局の案内)。

ご注意ください

表は、2026年9月時点で福岡市が公開している資料をもとにした整理です。福岡市の外(春日市・糸島市など)は、福岡県の保健福祉(環境)事務所が窓口です。基準は変わることがあるため、図面の段階で所管の窓口に事前相談してください。開設の届出はオーナー様が行うもので、福岡店舗内装工事.comでは事前相談に使う図面の用意をお手伝いします。

美容室の開業資金を内装で使い切らないための考え方

開業資金を内装で使い切らないためには、後から変えにくい設備にお金をかけ、後から足せる部分は開業後に回すのが基本です。

  • 最初に決めておくもの:シャンプー台の位置と給排水、給湯器の能力、電気の回路と容量、床の防水
  • 後から足せるもの:スタッフが増えるまでのセット面(配管と電源だけ先に用意)、壁の装飾、照明の演出、待合の家具
  • 居抜きで残せるもの:年式と動作に問題のないシャンプー台・給湯器、看板の本体(面板の入れ替えは1面3万円〜)
  • 費用を下げる工夫:セット面は既製品と造作を組み合わせ、見せ場の壁だけ仕上げを上げる

VE案とは、見た目や使い勝手を大きく変えずに、素材や工法を替えて費用を下げる代替案のことです。お見積りには、こうしたVE案を添えてお出しします。

後から変えにくい給排水・給湯・電気にお金をかけ、装飾や家具は売上を見ながら足していくと、運転資金を残しやすくなります。内装にかける金額の考え方は、開業資金のうち内装費の割合と運転資金で解説しています。

美容室の内装費用でよくある失敗と注意点

よくある失敗は、給湯と電気の容量不足が工事の途中や開業後に分かることと、美容機器を後から決めて配管や電源をやり直すことです。

  • 給湯器の能力が足りず、混み合う時間にお湯の温度が安定しない
  • ドライヤーやアイロンを同時に使うと、ブレーカーが落ちる
  • 美容機器の品番が決まらないまま工事を進め、配管や電源をやり直す
  • 2階の物件で床を上げた結果、入口などに段差ができる
  • ビルの指定業者の工事の金額が、着工の直前に分かる
  • 見積書が「一式」で、削る場所を選べない

電気の容量が足りない場合は、引き込みの工事などが必要になることがあります。福岡店舗内装工事.comでは、解体してから分かる下地や配管の不具合など、追加が起こりうる条件と金額の目安を着工前に書面でお伝えします。見積書の確かめ方は、内装工事の見積書の「一式」の見方で解説しています。

美容室の内装費用の見積もりを頼むときに伝えること

概算の精度は、最初にお伝えいただく情報で変わります。物件の情報と、セット面・シャンプー台の数がそろうと、費用の幅を絞り込めます。

  1. 物件の情報:募集図面、写真、所在地と階数、前のお店の業種
  2. 席数と台数:セット面の数、シャンプー台の台数、将来増やしたい数
  3. 美容機器の予定:シャンプー台・セット面・給湯器の品番、新品か引き継ぎか
  4. 施術の内容:カラー・パーマ・ヘッドスパなど、お湯と電気の使い方に関わるメニュー
  5. 開業の希望日と予算:内装にかけたい金額と、開業資金の全体

美容機器の品番が早く決まるほど、給排水と電源の位置が決まり、見積もりの幅が狭まります。見積書は工事項目ごとの数量と単価でお出しします。美容室の店づくりのポイントは美容室・理容室の内装工事に、ほかの工事の単価は費用の目安にまとめています。スケルトン物件からの進め方はスケルトンからの内装工事をご覧ください。

美容室の開業の内装費用でよくあるご質問

美容室の内装費用に、シャンプー台やセット椅子の代金は含まれますか?
含まれていません。美容機器の本体代は、内装工事の費用とは別に見込んでおく必要があります。機器の品番を先に決めておくと、給排水や電源の位置を図面に正確に反映できます。
2階の物件でも美容室を開けますか?
2階以上の物件で開業することもできますが、1階より水まわりの条件を慎重に確かめます。排水の経路や給湯器の置き場所が限られ、床を上げる工事や防水の範囲で費用が変わるためです。契約前に、募集図面と写真で確かめることをおすすめします。
居抜きの美容室なら、内装費用はどのくらい抑えられますか?
残っているシャンプー台・給湯器・配管を使えるかどうかで変わります。年式と動作に問題がなければ、壁・床・照明を中心にした軽い改装で開業できることもあります。給湯器が古い場合は、開業後すぐの交換に備えて、入れ替えの費用もあわせて見ておきます。
美容所の検査に通るように内装をつくってもらえますか?
はい。作業室の広さ、床や腰板の材質、洗髪設備、照明・換気など、基準に関わる部分を図面に反映して工事を進めます。基準は自治体の条例でも定められているため、図面の段階で保健所に事前相談していただくことをおすすめします。開設の届出は、オーナー様ご自身で行っていただきます。
開業資金が限られていても相談できますか?
はい、ご相談ください。内装・美容機器・看板・運転資金の配分から一緒に考え、開業後に足せる部分を後回しにする計画もご提案します。概算見積もりは無料で、概算を聞いてからのお断りも大丈夫です。

まとめ

  • 美容室の内装費用は、スケルトンからなら1坪あたり25万〜45万円が目安(税込)。美容機器の本体代は別
  • 美容室ならではの費用は、シャンプー台まわりの給排水・給湯と電気。台数と物件の階数で工事の大きさが変わる
  • 福岡市の美容所の基準(作業室の広さ・床の材質・洗髪設備など)も、レイアウトと費用に関わる(2026年9月時点)
  • 後から変えにくい設備にお金をかけ、セット面の一部や装飾は開業後に足す計画もできる

「この物件でシャンプー台を何台置けそうか」を知りたいだけのご相談も歓迎しています。